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*名探偵コナン* Daylight *降谷 零*

第14章 *File.14*


『2、3日帰れそうにない』
「…大丈夫、かな?」

マンションの駐車場に着いて、暫く空いたままの隣を駐車場を見てため息を一つ。
同じメッセージの三回目が来たのが、四日前。
語尾のお怒りマークの他に、二回目からは怒りを表したスタンプが複数付属されている。
セーフハウスには帰ってはいるんだろうけど、あれから十日になる。
ここまで来ると、淋しさよりも怪我をしていないか、そっちの方が心配だ。
風見がいても、零は先陣を切ってさも当たり前のように一人無茶して突っ走り、暴走する時があるから。
零の傍には、景光がいてくれるのが一番安心出来るのに。零の行動のストッパーになれて、阿吽の呼吸で零の補助が出来るのは、景光しかいない。
でも体調管理の方は、心配はない。
そこんとこは、日々抜かりがない人だ。
食事に関しては、零に心配される側だ。
零がいないと作るのも面倒臭くなって、私の食生活は超適当になるから。

「さて。晩御飯は何にしよ?」

此処でうだうだ考えても、仕方ない。
冷蔵庫の中を思い出しながら、開いたアプリを閉じてスマホを鞄に片付け、運転席のドアを内側から開いた時だった。

「あれ?」

このエンジン音って、零の?
地下駐車場だから、スポーツカーであるRX-7のエンジン音はよく響く。
間もなく、白い車がこちらに曲がって来て、相変わらずのドラテクで一発で駐車が完了した。

「おかえりなさい」
「ただいま」

車を出て、ロックをした零にぎゅっと抱きつくと、きつく抱き締められた。

「怪我は無い?」

しばらくして腕の力が弱まったところで、顔をあげる。

「ああ」
「よかった……ダ~メ」
「どうして?」

少し疲労感が見え隠れする、近付いて来た端正な顔を掌でとめる。

「止まれなくなるから」
「……俺が?」
「私も、よ」
「そうか」

拗ねた表情から一転して、口元に嬉しげな笑みが浮かぶ。

「帰るか」
「うん」
「俺がいない間、変わりはなかったか?」

胸の中では膨らみ抑え切れない感情を抱きながらも、素知らぬフリしてそれを隠し切る。

「美和子から色々問い詰められたのと、黒田管理官からの小言を聞かされたぐらいかな?」
「なるほど」

エレベーターに乗り込みながら、零が楽しげに頷いた。


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