第14章 ＊File.14＊

｢仕事中に、何時までイチャイチャしてるの｣
｢…はい？｣
｢雪乃さんが中々帰って来ないから呼びに来てみたら、二人の世界に入ってるし？風見さんも困ってたわよ｣
｢それは申し訳ない｣
｢でもま、ちゃんと恋愛してるのねえ｣
｢ふふっ。美和子と高木ほどじゃありませんことよ？｣
｢私のことよりも！まさか、の話だし？｣
｢その辺りのことは、私はノータッチだから｣
｢安室さん……で、いいのかしら？｣

本当は降谷さん、ですが。
私達の上司にあたる、方なんですが。

｢うん｣
｢彼が全部？｣
｢そうね。仕事に関しても、尊敬してるかな？｣
｢超ハイスペック夫？｣
｢それこそ、今更だけどねー｣
｢そうそう。ご機嫌なところに水を差して悪いけど、黒田管理官がお呼びだそうよ？望月警部｣
｢マジでっ？！｣

美和子の隣で、思わず叫んだ。
一体何を言われるのやら。
あー、怖い。



『2、3日帰れそうにない』
その日の夕方。
珍しくお怒りマークと共に送られて来た、零からの一通のメッセージ。

｢それは残念｣
『お仕事頑張ってください』

何事もなく、無事で元気に帰って来て。
紅く染まる空を見上げながら、ただ、そう祈った。