第14章 *File.14*
でもそれは、零や景光の立場を隠すためじゃない。黒の組織から私を遠ざけるために、なの。
「だから吉日っていう理由だけじゃなくて、11月7日を選んだの?」
「私達三人にとって、その日はとても大切な日だから」
萩を喪った、あの年から、ずっと。
そしてまた四年前の同じ日に、陣平を喪った。
「では、その諸伏と言うのは、やはり君のお兄さんなのか?」
「ええ。目暮警部もご存知の、長野県警の諸伏高明の弟で、私の双子の兄です」
「双子、だったの?」
「うん」
「確か、そのお兄さんも警察関係者って言ってましたよね?」
「兄も公安なのよ」
「そちらのお兄さんもまた、優秀な方なんだな」
「自慢の兄達ですから」
私は笑顔で返事をした。
ら、隣から、何やら不穏な空気を感じたのは気の所為だと思いたい。が、やっぱりそうじゃなかったとこの後、思い知らされるハメになった。