第12章 七変化
「そうは言っても……一体全体どうしたら良いやら……」
夜、自室の布団の上で唸る。
「女性の格好をしてすみませんでした? なかなか本当の事が言えずすみませんでした……ですかね、どちらかと言うと。女性の格好をしたことを謝ると、陰間の皆さんの仕事を否定することにも繋がりかねませんし」
難しい顔で考え込み、机に目をやる。
鍵付きの引き出しの中には、夕顔が書いた恋文が入っている。
自己紹介から始まり、突然声を掛けた無礼を詫び、突き抜けた量と質で書き綴られる情熱的な言葉。
最後には、名前と共に影の花の住所が添えられている。
思い返し、ため息を吐いた。
「でも、何を言っても言い訳がましいと言うか……無駄ですかね」
諦めたように布団に入り、目を伏せた。
深夜、寝苦しさを覚えた瑞は目を覚ます。
睡眠の途切れた気怠さと同時に、身体の火照りを感じていた。
身体の中心が熱く、下半身がじわじわと疼き始めている。
「ン……」
瑞は身体をもぞと捩り、熱っぽい吐息を零した。
暫く寝ようと努力していたものの、耐え兼ねた様子で身体を起こす。
火照った顔で、乾いた唇を開いた。
「そう言えば……ここに来てから、ずっと……」
そんなことを意識すると、更に身体が昂るようで堪らなくなる。
布団から抜け出し、敷布団の上に座り込むと浴衣をはだけさせた。