第12章 七変化
「……ひーっ!面白すぎんだろ!」
桔梗は顔を真っ赤にして笑い転げる。
一部始終をばっちりと見届けた竜胆たちは、一階の大広間に皆を集め、ベラベラと捲し立てていた。
瑞は気まずそうな顔で佇んでいる。
「もうその話はやめましょうよ……」
「いやいや! こんなおもろい話あと百回は言わな」
竜胆はさらりと髪をかきあげ、爆笑している陰間たちに向かって囁いた。
「そんでなあ、夕顔にいはこう言うてん、オレは……本気なんだ」
「ぁああ〜っ!やめてぇ〜!お腹ちぎれちゃうってえ!」
椿は仰け反って笑う。
「い……息が、苦しい……」
菖蒲は床を叩いて呼吸さえ苦しそうに悶絶し、
「やめてあげなよ竜胆くん……っ、夕顔がか、かわいそ、っふ! ふふっ!」
桜は口元に手を当ててニヤけた表情を隠す。
「若いの〜、夕顔」
「そりゃあ面白えなあ」
撫子と萩も笑いながら頷く。
昼顔は苦笑いしながら朝顔の耳を塞いでいる。
梅は先輩の意外な一面に驚き混じりに呟く。
「夕顔さん、そんなこと言うんですね……」
「意外だよネ」
菊もうんうんと首を縦に振る。
「ぼ……ぼくはかっこいいと思いますけど……」
菫はもじもじと呟けば、藤が笑って頷く。
「夕顔は意外と浪漫があるからね」
「確かにそうかも〜」
紫陽花も笑顔で同意した。