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影の花

第12章 七変化


今日も今日とて、夕顔はふらりと街に出ては瑞子を探す。

ふうとため息を吐き、諦めて帰ろうとした時。

「あ……!」

「どう、も……」

瑞はあの日と変わらない出で立ちで、夕顔に小さく頭を下げる。

夕顔の表情が輝いた。

瑞に駆け寄る。

「瑞子さん」

「私のこと、待ってるって聞いたので……」

「ま、まさか、それでオレに会いに来てくれたのか?」

瑞はこくりと頷き、目を細めた。

「良ければ、その辺を歩きながらお話しませんか」

夕顔は天にも登るような心地で頷いた。

街を歩きながら、瑞が話を切り出す。

「どうして私の事がそんなに気になったんですか?」

「なんだろうな……単純にオレの好みだったんだけど」

夕顔は照れくさそうに笑った。

「初めて会った気がしなくて。なんつーかさ、運命感じたんだよな」

「……そうですか、私も初めて会った気はしませんね……」

「マジでっ? あ、あとその優しそうな表情とか、話し方も好きだわ!」

夕顔は無邪気な笑みを見せ、尚更嬉しそうにする。

「そうだ瑞子さん、甘い物は好き? 良い茶店知ってるんだけど、団子でも……ん」

ふと語りを止めると、瑞を改めて見つめる。
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