• テキストサイズ

影の花

第12章 七変化


「わ、私今どうなってるんですか?」

「はいこれっ!」

桜が嬉しそうに鏡を手渡す。

瑞は鏡に映る自分に固まり、

「ッ……や、やはり、いけません、全く似合いませんッ!」

全力で首を振った。

「そんなことないよ、可愛いもん! せめて今日一日はこのままでいてね〜」

「そんな!わたしにはとてもっ!」

「みんなにも見せよー、椿ちゃ〜ん、萩さ〜ん」

瑞は声にならない悲鳴を上げる。

「勘弁してください!」

慣れない振袖姿で、桜の部屋から飛び出した。

「逃げちゃった」

場所は変わり、

「気に入らねえ……」

二階の書斎にて。

出窓に腰を下ろした夕顔。

煙管を吹かしながら、苦虫を噛み潰したような表情で呟いた。

洗濯物を畳んでいた青年は、また始まったと顔を顰める。

夕顔は青年を見下ろす。

「なあ藤、そうは思わねえか?いっつもヘラヘラして、その実俺らを嘲ってやがんだ」

「そーだねー……そーかもしれないねー……」
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp