第12章 七変化
「わ、私今どうなってるんですか?」
「はいこれっ!」
桜が嬉しそうに鏡を手渡す。
瑞は鏡に映る自分に固まり、
「ッ……や、やはり、いけません、全く似合いませんッ!」
全力で首を振った。
「そんなことないよ、可愛いもん! せめて今日一日はこのままでいてね〜」
「そんな!わたしにはとてもっ!」
「みんなにも見せよー、椿ちゃ〜ん、萩さ〜ん」
瑞は声にならない悲鳴を上げる。
「勘弁してください!」
慣れない振袖姿で、桜の部屋から飛び出した。
「逃げちゃった」
場所は変わり、
「気に入らねえ……」
二階の書斎にて。
出窓に腰を下ろした夕顔。
煙管を吹かしながら、苦虫を噛み潰したような表情で呟いた。
洗濯物を畳んでいた青年は、また始まったと顔を顰める。
夕顔は青年を見下ろす。
「なあ藤、そうは思わねえか?いっつもヘラヘラして、その実俺らを嘲ってやがんだ」
「そーだねー……そーかもしれないねー……」