第11章 夜に咲く花
「ちょっと、二人とも! 兄さんが……!」
三人も慌ててそれに続く。
「夜顔兄さん……」
夜顔の部屋の前で、夕顔が不安そうに夜顔に声をかけると、ちらりと振り返った。
「昼、夕、ありがとう。朝によろしく」
「うっ、うん! 朝顔も、兄さんに会いたがってるから! 今度は連れてくるよ!」
そして夜顔は瑞を最後に見、
「よろしくね」
ピシャリと障子を閉めた。
「……個性的なお兄さんですね」
「うるせー」
夕顔は数年ぶりの兄の顔に涙ぐむ。
「本当に……ありがとうございます、瑞さん……」
昼顔も、涙声だった。
「まさかおにぎりでそんな」
「水差すんじゃねえ!」