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影の花

第42章 大団円へと


そんな中聞こえてきたやり取り。

「皆の真心込められた料理もいいけど、そろそろ美味しい男体盛りなんかも味わいたいね」

ふふふと笑う蓮華を睡蓮は冷めきった目で見遣り、

「貴様がやれ」

一つ結びの長髪をがしっと掴んだ。

「痛い痛い痛い! で、でも睡蓮が望むなら僕はやるよ、望むところさ!」

「貴様がやりたいだけだろう……! 俺は全く望んでいないッ、皆がやらされるくらいならという意味で……!」

「美味しく食べて! この僕を!」

蓮華は酔っているのか素面なのか分からない態度で、自分の帯を解く。

「やめろお!」

睡蓮は慌てて兄に掴みかかった。

「あ、あぁっ、睡蓮そんな、兄弟でなんて……」

「やめろと言っているだろ!」

右に目をやれば、

「ううう……僕も個性が欲しい……」

「お、お面、被ル?」

泣きじゃくる昼顔を菊が慰めている。

左に目をやれば、

「この片付けは誰がやるんですか……あ、頭痛くなってきた……っ」

「大丈夫ですか……?」

頭を抑える梅を心配そうに菫が見上げる。

前に目をやれば、

「んー……」

「ねんねんころりよー……おころりよー……」

酔っ払った大人たちや宴に飽きた朝顔を菖蒲が寝かしつけている。

後ろを見ると、

「……おにぎり食べたい……」

夜顔が手持ち無沙汰に三角座りをしていた。
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