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影の花

第42章 大団円へと


瑞は慌てて辺りを見渡す。

台所から戻り、撫子と酒盛りをしていた蘭に耳打ちをする。

「ら、蘭さん、これ不味いんじゃないんですか」

蘭は瑞に言われると赤く染めた顔をこてんと横に倒し、

「あら〜」

緩んだ笑みを零した。

「あらーじゃないですよ!」

「アイツらも子供じゃないけのう、自分で何とかするじゃろ」

撫子はちびちびと酒を飲みながら呟く。

瑞が夕顔たちに視線を戻せば、

「殴り合ってますけど! 大の大人が!」

夕顔は腕に唸りをつけて桔梗の頬をぶん殴っていた。

「やれやれ〜い」

「頑張ってえ〜」

同じく料理を終えて戻ってきた桜と、藤、紫陽花はきゃーきゃーと声を上げる。

「ちょっ、ほんとに……」

瑞だけが狼狽えていると、夕顔にぶん投げられた竜胆が障子を突き破った。

「障子がッ!」

瑞は力のありそうなまわしに手を貸して貰おうと周囲を見れば、

「薊、お前は最近生意気だぞ」

「あ? やんのか? やんのかっつってんだよ白黒頭こらぁ……」

牡丹と薊がメンチを切り合っていた。

「なーにやってんですかあんたらも!」

瑞は牡丹と薊を必死に引き剥がす。
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