第41章 青天の霹靂
結局、萩と主人はその日帰ってくることはなかった。
夜が明け、昼過ぎになって、影の花の門を開いたのは萩一人だった。
帰ってきた萩に陰間たちが駆け寄る。
瑞は萩の真ん前に立ち、不安そうに瞳を揺らす。
「どうでしたかっ……」
萩は下唇を噛み、首を左右に振った。
「……ダメだったよ、歳もあったが体のどこもかしこもボロボロだったそうだ」
瑞は息を呑み、陰間たちにも動揺が広がる。
萩はザワつく面々を見据え、
「影の花の主人は死んだ」
冷静に告げた。
「もう坊さんに死に顔を見てもらった。これから仏さんを引き取りに行く。お前らこれから慌ただしくなるぞ」
萩の言葉に皆が不安や焦燥に駆られる中、鈴蘭がボソッと吐き捨てた。
「……なんや結局死んだんかい、瑞に手間かけさせといて」
「ほんま仏さん言うのは気楽なもんやなあ、死んだら何もせーへんでええもんなあ。俺らはこれからとんでもない面倒が始まんのに」
竜胆も同調すれば、萩が二人の頭にゲンコツを落とした。
「ッたあ〜!」
「萩さん、火花出たで……!」
頭を押さえて悶絶する二人を見下ろし、ふーっとため息をつく。
「色々思う所あるだろうが、せめて喪に服してる間くらい罰当たりなこと言うもんじゃねえ。蘭、むしろと逆さ屛風なんかの準備を頼む。お前らも常連に連絡入れとけ」
「はいはい、あんた達集まってないで仕事よ仕事。忙しくなるんだから、各自やることやってちょうだい!」
蘭はパンパンと手を叩いて陰間たちを追い払う。