第41章 青天の霹靂
瑞はそんな蒲公英を見つめ、指先で彼の袖に触れた。
「時に、蒲公英さん。今日はいつぞやのような格好では無いのですね」
「はうう!」
蒲公英は初めて瑞と布団を共にした日と異なり、化粧もしていなければ髪も整えていない。
当然女物の美しい小袖も着ておらず、陰間たちのお下がりの浴衣を崩して作った寝間着姿だった。
「はっ……あ、ああ、申し訳ございませんっ、このような格好で、蒲公英は、主様が、このような戯れに、崇高な、付き合って、蒲公英のまさかの前に……!」
蒲公英は目をぐるぐるとさせ、支離滅裂な言葉を吐く。
「戯れなどではありませんよ」
「そうでございますよねッ、けけっして、主様がここまで足を運んで下さったことを貶めているわけではなく、蒲公英は、蒲公英は……信じられなく……」
蒲公英は徐々に声を小さくし、しゅんと俯く。
瑞は優しい表情で蒲公英を見つめ、そっと小さな手に自分の手を置く。
「主様……!」
「それに、私は今の蒲公英さんも魅力的だと思います。恥ずかしがることありませんよ」
目を丸くする蒲公英に顔を寄せると、その生真面目に動く唇を塞ぐように口付けをした。
柔らかく唇を重ね、何度も甘く触れ合わせる。
優しく控えめなものだったが、蒲公英の強ばった身体からはみるみる力が抜け、目は蕩けていく。