第41章 青天の霹靂
それから夜が明け、また空が暗くなって、満月が影の花を照らす頃。
「主様……」
一人部屋に敷いた布団の上で佇んでいた蒲公英。
茫然とした表情で呟いた。
蒲公英の視線の先には、恋焦がれ、今日一日中待ちわびた瑞が立っている。
満月を背にし、薄い月光を浴びる瑞。
蒲公英には、神々しい程に光り輝いていた。
「待たせましたか」
微笑する瑞に蒲公英はびくんと肩を跳ねさせる。
「いえ……っ! 蒲公英は、蒲公英は……!」
慌てて座布団を並べようとする蒲公英。
瑞はくすりと笑う。
「蒲公英さん、これからお茶でも飲むつもりですか?」
「ひっ、あう、そそそそうでございますね、じゃ、じゃあっじゃあっ」
蒲公英は黒髪を振り乱して部屋中を見渡すも、自分の敷いた布団は全く目に入らない。
瑞が口を挟む。
「私もそちらの布団にお邪魔してよろしいですか」
「はいっ!」
蒲公英は敷布団の上に座り、どくんどくんと心臓を跳ねさせる。
隣に腰を下ろす瑞に身体が少しも触れない程めいっぱい縮こまる。