第6章 火遊び
昼間、大部屋で帳簿を付けていた萩が首を捻る。
「ンー……これは、あいつに聞かねえと分からんな……」
部屋の中にいる陰間たちを見渡し、
「あーおい夕顔。ちょっと蓮華呼んできてくれ」
「ンげッ」
夕顔の顔が露骨に顰めっ面に変わる。
夕顔はキョロキョロと辺りを見、本を読んでいた睡蓮に近寄る。
猫なで声を出した。
「すいれーん、お前のお兄ちゃん呼んでき」
「知らん」
一刀両断する睡蓮に、夕顔が声を張る。
「睡蓮お前さあ! 知らんだけで乗り切れたら苦労しないよ人生! でもそういうもんじゃないじゃん!」
「……それでも知らん」
「バーカ!」
「バカじゃない!」
夕顔はため息をつき、
「あーもうじゃあ桔梗頼むわ、先輩命令な」
手近にいた桔梗の肩を叩いた。
「うええッ!? あ、菖蒲お願い!」
菖蒲はゆらりと立ち上がり、桔梗をじっとりと見つめる。
「は……? ボクに頼むの……? このボクに……?」
「うっ、で、でもさあ〜! おれ、こえ〜よお〜! マジで誰か代わってくれよ〜!」
桔梗は泣き声を上げた。