第6章 火遊び
桜はまさに声が漏れ出ている部屋の前でききっと止まると、ハアハアと肩で息をしながら障子を勢いよく開いた。
「教えないでって言ッ……?」
障子を開いた向こうには、複数人の陰間と、大量の賭博道具が散らばっていた。
瑞は竜胆と番双六を対面で囲んでおり、
「また負けました……」
悔しそうに呟き項垂れた。
「はっはっは〜! 昨日今日で勝てるほど竜胆さんは甘くないでえ」
竜胆は高笑いをする。
瑞が桜に気が付き、目を輝かせる。
「あ、桜さん。今竜胆さんと双六をして遊んでいたんです! 他にも沢山色んな遊びを教えて貰って、皆で遊んでたんです。宜しければ桜さんもしませんか」
桔梗が苦笑いし、花札を一枚つまんで見つめる。
「にしても偏った遊びだよな〜……双六、サイコロ、花札だもん」
「遊びって言うより、賭け事〜?」
紫陽花が首を傾げれば、竜胆が手を左右する。
「賭け事ちゃうちゃう、何も賭けてへんからお遊びや。ちびっ子もおるしな」
「竜胆にい、ボクちびっ子じゃないってば!」
「蒲公英は早く大人になりたいです」
桜は部屋を見渡し、状況を把握する。
力無くふっと一笑した。
「……ならいいんだけどさ」
ほっとしたような残念なような感情で、力無く呟いた。
「な、何がやねん……」