第6章 火遊び
「紫陽花にい、瑞はこれが弱いんだねー」
「だね〜、なんか可愛い」
続いて聞こえてくる椿と紫陽花の声。
「瑞に瑞に瑞に……っ!」
「うおッ」
鬼の形相をして駆け抜ける桜の勢いで、夕顔の髪が揺れる。
「……なんじゃありゃ」
夕顔の隣にいた睡蓮が呟く。
「なんだ今のは。菊は狐面から般若面に変えたのか?」
「バカ。ブッ殺されるぞ……まあ、聞こえてねーだろうけど」
二人が話している間にも、桜は見えなくなっていた。
「主様、耐えてください……!」
悔しそうな蒲公英の声。
「変なこと!」
「竜胆、次俺の番!」
楽しそうな桔梗の声。