第40章 傷口に塩
「他のやつに、触られるんと違うかもしれん……気持ちいい……」
赤みのさした頬と、僅かに震えた声が色っぽく、瑞はぞくっとする。
指先から感じる撫子の身体。
胸の深い切り傷などは完治していても他の部分と触り心地が異なり、触っていると無性に心配になった。
しかし撫子の口から溢れる声にはどんどんと艶が混じり、喘ぎ声と言っても遜色がないものに変わり始めていた。
「撫子さん……」
瑞は薬を塗るという大義名分を忘れ、締まった上半身を抱き、顔を近付ける。
撫子もそれを受け入れ、目を伏せた。
瑞はそっと唇を重ね、撫子の胸板を撫でる。
傷を触られながらの口吸いに、撫子は身体を捩っては息を漏らす。
「は、う……ン……ッ」
瑞は大柄な撫子を抱き、ちゅっちゅっと唇を重ねる。
撫子の弱々しい声が脳に響き、下腹部に熱い火を灯す。
お互い身体を火照らせ、もっと強い刺激を求めようと身体が疼く。
瑞が舌を差し込もうとすると、
「瑞、ちょっと待て……一旦触らんでくれ」
撫子は唇を離し、瑞の手に手を重ねた。
瑞は突然のお預けに残念そうにし、興奮冷めやらぬ目で撫子を見る。
「え? そんな……どうしたんですか、急に……」
「違うんじゃ、声が」
真面目な顔に変わる撫子に、瑞は表情を緩める。
「もしかして、今更恥ずかしくなったんですか? 声、とっても可愛いですよ」
嬉しそうに囁くと、首筋に顔を埋め、傷跡に口付けをした。
撫子の背筋がゾクゾクと震える。