第39章 枯葉
「すみません。蓮華さん、瑞ですが……」
部屋の中の蓮華はびくっと肩を跳ねさせる。
「こちらに躑躅さんはいらっしゃいませんか?」
躑躅は瑞の声に反応し、蕩けた口を開く。
「あ……え……? 瑞さん……」
瑞は躑躅の声を聞き、笑顔になる。
「ああ、やはり蓮華さんのお部屋にいらっしゃいましたか。この前の本、途中でしたので。良ければ続きを読みませんか」
「ほん……? うん……」
躑躅はぼんやりとした頭で頷き、瑞の方へと歩き始めた。
「わわわわ……!」
蓮華は慌てふためく。
何せ、躑躅は振袖はおろか、襦袢や褌も身につけていない素っ裸で障子を開こうとしていたのだ。
真っ白な身体の中心だけが赤く色付き、根元までぬらぬらと濡れて光っている。
真っ赤な口紅は掠れ、目元の包帯は緩み、白髪を散らす姿はどう見ても交合の真っ最中だった。
その上、躑躅の様子は明らかにおかしい。
口元は緩み、衣服を脱ぎ散らかし、呂律が回っていない。
蓮華は急いで躑躅の手を取った。
「躑躅く、じゃない、躑躅さん……! 開けちゃダメですよ!」
「んう……でも、瑞さんが呼んでる……」
「僕が瑞さんでしょう!?」
障子の向こうから聞こえる言い争いに、瑞は眉間に皺を寄せる。
「……躑躅さん? 蓮華さんも一緒にいるんですよね? 大丈夫ですか?」