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影の花

第39章 枯葉


蓮華の腹に鋭い肘を入れる。

「ぐッ!」

「戯れ言を……! 貴方などに少し気を許したわたくしが愚かでした」

「い、痛いな……」

蓮華は腹を抑えながら、強気に笑みを浮かべる。

「……だけど、誰しもが躑躅くんみたいに清廉潔白に生きられないんだよ……瑞くんも、僕も」

「瑞さんと貴方を同列に並べないで頂けませんか」

さっさと自分の部屋に戻ろうとする躑躅の背中に、蓮華は語りかける。

「勿論君もね。躑躅くんのようには生きられない」

躑躅は足を止め、蓮華を振り返る。

「何を言っているのです……頭でもやられましたか。わたくしはわたくしですよ」

「いいや。瑞くんと出会った君はもう、今までの君じゃない」

蓮華はすれ違いざま、立ち竦む躑躅の肩をぽんぽんと叩く。

「君が望むなら僕の部屋においで。極上の夢を見せてあげるよ」

そう言い残し、自分の部屋へと戻って行った。
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