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影の花

第39章 枯葉


それからまた日が流れ、躑躅は思い詰めた表情で蓮華と向かい合っていた。

「蓮華さん……」

躑躅と真正面で向き合い、多少緊張した面持の蓮華。

躑躅は深々と頭を下げた。

「いつかは失礼な言い方をして、誠に申し訳ございませんでした。その、自分のことを棚に上げて汚らしいなどと……」

申し訳なさそうにする躑躅に、蓮華は安心したように表情を緩ませた。

「いやいや、僕はそういった扱いには慣れてるからね。むしろ君が皆のように砕けた接し方をしてくれて嬉しかったよ」

躑躅は頷く。

そして何か言いたげにするも、諦めて俯いた。

その様子に蓮華は目を細め、

「皆まで言わなくてもいいさ」

躑躅の細作りの肩を抱き寄せた。

「何を……ッ」

気安く触られ、躑躅の顔にさっと赤色が差す。

蓮華は動揺することなく、振り払おうとする細い手を掴んだ。

「君のそれは汚らわしくない、正当な欲求さ」

躑躅は息を呑む。

蓮華はゆっくりと躑躅の顎を持ち上げる。

「瑞くんにもっと触れたい、触れられたいと思ったんだろう? きっと瑞くんも同じ気持ちさ」

躑躅の頭にかっと血が上った。
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