第39章 枯葉
躑躅は眉一つ動かさないが、目の前の男の察しの良さに嫌悪すら感じていた。
蓮華はいつもと変わらない調子で続け、
「瑞くんの為にわざわざ書店に足を運んで、店員さんに瑞くんが読みたがっていた本がないか聞いて、探して貰ったんだろう?」
ふふっと笑いをこぼした。
躑躅の包帯から手を離す。
「奥ゆかしいのも結構だけど、君が慎ましく愛を育てているうちに皆はもっと先に進んでいるかもしれないよ」
ゆっくりと口角を上げ、黙りこくる躑躅を改めて見つめる。
「どうだろう。汚らわしい人、の力を借りてみないかい?」
躑躅は蓮華が指を離した途端に軽くなった足で彼から背を向ける。
「結構です」
一言絞り出すと、スタスタと立ち去って行った。
「つれないなあ」