第38章 飽和
「はい、いっちょ上がり。とっても可愛いね」
「んッ、うう! ンんー!」
瑞は肌を紅潮させ、身体を捩る。
「やめてー!」
桜は悲鳴をあげる。
「何でだい、桜も遠慮せず瑞さんを甘やかしてあげるといいよ」
藤はくすりと目を細めて笑い、瑞の髪を撫でる。
「ふむ……ぅ」
視界を奪われて敏感になった瑞はピクンと肩を揺らし、顔を赤くする。
「無理だよこんな人質みたいになった人を甘やかすのは!」
言い返す桜に、藤は挑発的な視線を送る。
「……ふーん、桜も案外大したことないね」
「えっ? な、なにそれどういう意味」
桜が眉を顰めると、一笑を零した。
「桜は影の花随一の陰間なんて言われてるけど。無理なんて言葉が君の口から出るなんて思わなかったな」
「無理じゃないよ……ボクが癒してあげるもんっ」
桜は藤から背を向け、瑞に飛び付く。
華奢な身体を寄せ、瑞の首筋に指を這わせる。
襟元に指を突っ込み、軽く爪を立てながらなぞる。
ゆっくりと襟を開いて、帯に手をかけた。