第6章 火遊び
「とぼけちゃって〜、わざわざこんなとこで下働きするっちゅうことは兄やんもイける口なんやろ? ……一回はヤったやろ? 兄やんもまだまだ若いもんなあ!」
「え、え?」
「どいつが好みなんや? 俺にだけ教えてーや、絶対喋らへんから! いっつも引っ付いて回とるけど、椿ちゃん? 蒲公英? それとも裏かいて萩さんとか!」
理解の追いつかない瑞に対し、竜胆はグイグイと詰め寄る。
「なんなら俺でもええで、相手したるう。兄やんなら特別料金にしたるわ! あ、待って、肝心なとこ忘れてたわ! やっぱり桜ちゃんがええ? でもあかんで、桜ちゃんは目の玉飛び出るくらい高」
「……竜胆くん」
竜胆が振り返り、にかっと笑う。
そこには綺麗に着飾った桜がぷーっと頬を膨らませていた。
「お、噂をすれば桜ちゃん。これから仕事か?」
「うん……ってねえ! 竜胆くん前も言ったでしょ、瑞は記憶喪失になっちゃったから僕がここに連れてきたの。別に男色じゃないの!」
「おや〜? なんやなんや、何怒ってんねん桜ちゃん! これは怪しいでえ」
「うるさいうるさーい!」