第35章 サンドリヨン
昼顔に軽く睨まれ、桔梗はお茶を濁していると、
「わ〜昼顔にい、か〜わいい!」
「昼顔様、何だか華やかですねっ」
「か、かわいい……」
昼顔はあっという間に椿、蒲公英、菫たちしんべこに取り囲まれた。
「はは……は」
昼顔はキラキラした目で見上げられ、困った顔で笑う。
特に椿はわーわーと黄色い声を上げてはしゃぎ、
「ほら見て見てぇ瑞、可愛いよお!」
台所で洗い物をしていた彼をぐいっと引っ張った。
「なんですか?」
皿を手にした瑞が顔を覗かせる。
唐突に現れた瑞に昼顔の心臓がドキンと跳ねる。
「はわッ……」
瑞は着飾った昼顔を見つめ、
「おや。昼顔さん、とっても可愛いですね」
柔らかく目元を緩め、声を立てずにわずかに笑った。