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影の花

第34章 惚れた腫れた


薊が爪先で切っ先をべちべちと叩くと、鈴口から滲んだ汁が絡みつき、にちっと糸を引いた。

「はは、まるで納豆だな。どこまで糸が伸びるか試してみるか?」

牡丹は屈辱感と羞恥に、更に息を荒くした。

「く……」

「お前の目の前で犯してやろうか? そうしたらもっと興奮するだろ」

薊の手が瑞の腰を撫で、片手を唇に突っ込む。

「んぅ……あ」

指先で口内を撫でながら、薄い笑みを零した。

牡丹は声を荒らげる。

「薊やめろ! そんな事、冗談でも言うな」

「はは、お前でもそんな顔出来るんだなあ。じゃあどうしようかねえ、ここでせんずりでもこいてもらうか? もっと惨めな顔を拝ませてくれよ」

「な……っ……」

そこで瑞の堪忍袋の緒が切れた。

愉楽の表情を浮かべる薊の胸に手を回し、

「んふぁあッ!」

ぎゅうっと鷲掴んだ。

薊はビクビクと悶絶し、胸を押さえて丸まる。

「てっ……め、何しやがるッ!」

瑞は驚く牡丹の視線を受けながら、薊を見下ろした。

「そろそろ気が済んだでしょう? もう充分おもちゃになってあげたじゃないですか」

瑞は淡々と言葉を吐き、笑って薊を見る。

「私が気に入らないのは分かりました。でもそれがどうして牡丹さんを虐めることに繋がるんですか?」

変わりように目を見開く薊が一歩後ずされば、

「いい加減にしてくださいよ」

瑞は更に距離を詰めた。

唇が触れそうな程に顔を寄せ、薊の前髪を触る。
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