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影の花

第34章 惚れた腫れた


「また殴ってみろよ。今度は足で止めてやろうか」

薊は半笑いで更に牡丹を煽る。

「だ、誰か!」

瑞が部屋を飛び出そうとすると、薊は瑞の腕を掴む。

「おっとお、お前さんに逃げられちゃ話が始まんねえ」

「離せ」

「お前が俺から手を離したらな」

牡丹は薊を睨みながらも、渋々手を離した。

「おー怖い怖いっと。お前陰間よりも殺し屋に向いてるんじゃねえか? そういう顔してるぜ」

「そんな事どうでもいい……さっさと瑞を離せ」

「お前、こいつが好きなんだろ?」

瑞の目が丸くなる。

牡丹は瑞と薊を見比べ、静かに頷いた。

「じゃー大人しくしてろよ。俺の機嫌損ねたらこいつの腕へし折るからな」

薊は物騒な物言いと反対に、優しい手つきで瑞の胸元を撫でる。

服の上から胸の先を擽り、ぴんぴんと指で掠める。

「ン……っ」

瑞は眉根を寄せ、薄く唇を噛んだ。

「……悪く思うなよ。俺の忠告を聞かずに近付くからこんな羽目に合うんだよ」

硬くなり始めた蕾をきゅっと摘んだ。

「うっ、う……」

指の腹で押し潰し、くりくりと転がしては爪で弾く。

薊は瑞の耳に口付けをし、襟を開いた。
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