第34章 惚れた腫れた
「やたら突っかかってくるたあ思ってたら、なるほどな。お前、俺の事が好きなんだな?」
「えっ、な、何を」
「なるほどなるほど、全部腑に落ちたぜ。それならそうと言ったら可愛がってやるのによ。俺は遠回しに誘われるより、ハッキリ言われた方が好きだぜ……今からでも言えよ、滅茶苦茶にしてくださいって」
薊はくくっと喉を鳴らし、牡丹に視線を送る。
牡丹は薊に焚き付けられ、薄い表情に怒りを覗かせる。
長身を持ち上げて立ち上がり、少しばかり低い位置にある薊の顔を睨んだ。
「違う。瑞はそんな事言ってない」
「あ? んなことなんでお前に分かるんだよ、この白黒頭」
薊は乱雑に牡丹の頭を撫でくる。
髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜられ、牡丹の眼光が鋭くなる。
牡丹は薊の顔面に勢いよく拳を叩き付けようとし、
「おーおー好きなやつの前で猫かぶってた癖に、一皮剥けばこれだ。にしてもおっそい拳だな、蝿が止まるんじゃねえか?」
すんでのところで受け止められる。
牡丹は歯ぎしりし、片手で薊の胸ぐらを掴んだ。