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影の花

第33章 闇鍋


驚く二人の視線の先では、菖蒲が興奮気味に肩で息をしている。

「な……な〜にい? それ……」

「と、と言うかいつから聞いてたんですかっ!」

困惑する紫陽花、赤面して狼狽える瑞。

菖蒲は小さな黒目で二人を睨むと、ズンズンと足を踏み出す。

あわあわと身体を隠す瑞に焦点を合わせた。

「瑞っ!」

「はいッ!」

強めに名前を呼ばれて反射的に返事をする瑞。

菖蒲はそんな瑞の両手をがっしりと包み込むように掴み、視線を合わせる。

「あんたがウケでもおれは構いませんッ……、でも、でも……やっぱり瑞は圧倒的な加虐者だろッ! 紫陽花さんに責められるのはおかしい、嗜虐の悦びを思い出すべきだ……おれを使っていいからっ、ほら早く! 早くいたぶってくださいっ」

「え、あ、あ、なんの事だかサッパリなんですが……!」

瑞は鬼気迫る様子の菖蒲に押され、混乱しなから後ろに下がる。

隅に置いてあった大鍋に足を引っ掛け、

「ッわああ!」

悲鳴をあげた。

「いたた……」

大量のいちぶのりを頭からざぶんと被った瑞。

裸体に粘液がしたたり、つやつやと輝やいている。

紫陽花と菖蒲の頭に稲妻が走る。
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