第4章 狐の婿入り
菊はうんうんと頷き、瑞に手を差し出した。
「菊だヨ、握手」
「よ……よろしくお願いします、瑞です。これから下働きをさせて頂きます。私もさっきはお化けなんて言ってごめんなさい」
ペコッと頭を下げ、菊の手を握ればひんやりとした体温が伝わった。
「梅も握手」
菊が梅の片手を掴み、
「わ、わたしもですかっ? よっ、よろしくお願いします」
瑞の空いた手に被せる。
梅の手は菊と反対にほんのり温かく、包み込むように指が重なった。
「……なんじゃこりゃ」
夕顔は菊と梅に両手を握られる瑞を見て、ぼそりと呟いた。
「それじゃあな。今度こそおやすみ」
「瑞おやすみ!」
「はい、おやすみなさい」
陰間たちを見送り、瑞は欠伸を漏らす。
布団に潜り込み、今度はすぐに眠りについた。