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影の花

第33章 闇鍋


「う……ううん……」

瑞は小さく呻き、薄目を開く。

むくっと身体を起こして辺りを見渡し、自分が風呂場にいることに気がついた。

何故か先程までの記憶が無く、ぼんやりとしていると風呂場の戸が少し開く。

隙間から覗いた顔に首を傾げた。

「紫陽花、さん……? 私は、何を……」

「ん〜? それより瑞ちゃん、どうしてお風呂なのに服着てるの〜?」

紫陽花は戸を全て開き、きょとんとした様子で尋ねる。

瑞の目に一糸まとわぬ紫陽花の姿が飛び込む。

色白で玉のような肌、先の尖った胸元、柔らかい腰付き。

瑞々しい脚の付け根の中心には一本の毛もなく、肌と同じく色白な陰茎が揺れていた。

「すっすすすみませんっ!」

瑞は飛び上がって風呂場を出ようとすると、紫陽花に袖を持たれた。

「ダメだよ〜? ちゃんと裸で待っててねって言ったのに」

「え、えっ? 何のことですか」

「いちぶのりの使い方、教えて欲しいって言ったでしょ〜?」

「いちぶのり……?」

そこで瑞は不自然に置かれた大鍋に目をやる。

「アレですか?」

「そうあれ〜」

紫陽花はにこにこと頷く。

「そう言われると、見覚えがあるような……でも私、使い方を教えて欲しいなんて言いましたか?」

「いいからいいから〜、遠慮しないでぼくに任せて〜っ」
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