第31章 一難去ってまた一難
「……ですが、完全にこれはわたくしの過ちです、本当に反省しております。ですから謝りたいのですが、なかなか時間が合わず」
躑躅はそこで瑞の声を頭に描く。
朗らかな笑い声、陰間との掛け合い、優しい声。
「なにぶん、いつも人に囲まれている方ですから……わたくしなどが近づいて、他の方を怖がらせてもいけませんし」
「どうしてえ? 躑躅にい怖くないよ?」
躑躅は微笑み、椿の頭を撫でた。
「んん……」
「ありがとうございます」
「ふふん。とりあえず、良い謝り方を教えて欲しいってことでしょ」
躑躅が頷けば、椿は自信満々に胸を張った。
「ボクに任せなさーいっ」
椿から直々に良い謝罪方法を伝授された躑躅。
緊張した面持ちで瑞を探し歩いていた。
椿の話を思い返し、ブツブツと呟く。
「ごめんねっ……こ、この前はごめんね……」
『え、失敗した時? そうだなー……ぎゅっと抱きついて、上目遣いにー、ごめんねっ! て可愛く言うの。そうしたらどんなお客様も許してくれちゃうよ』
『……って、桜ねえが言ってたよ!』