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影の花

第31章 一難去ってまた一難


躑躅は何十回目かの内省をし、ため息を漏らす。

瑞の姿を見る度自己嫌悪に駆られていた。

「……はあ」

縁側に腰を下ろし、またため息をついた。

「どうしたのー、躑躅にい」

そんな躑躅を見掛けた椿は、不思議そうに声をかける。

隣にちょこんと腰を下ろした。

躑躅は椿の方に顔を向け、困り笑いを浮かべる。

「椿さんですか。いえ……仲直り、というのはどうすれば良いのでしょうね」

「仲直りい? 躑躅にい、誰かと喧嘩したのお?」

躑躅は首を縦に振る。

「はい……謝りたい相手がいるのです」

「なんで喧嘩しちゃったのー?」

椿の無垢な問いかけに一瞬言葉に詰まる。

気恥ずかしそうに話し始めた。

「本当にお恥ずかしい話ですが……。その、ある人の前で醜態を晒してしまったのです。それであろう事か、わたくしは恥ずかしさのあまり、その人に手を上げてしまい……」

「その人が悪くないのに?」

躑躅は気まずそうに頷く。

「あちゃ〜……」

椿は残念そうに言い、躑躅の顔を見る。

雪のように白い肌、同じく真っ白な切り揃えられた髪。

紅を塗った真っ赤な唇。

整った鼻筋や、ぴんと伸びた背筋、凛とした佇まい。

ぽつりと呟いた。
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