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影の花

第30章 残酷


夜顔は冷静な眼差しで瑞を見、真っ直ぐな口調で言う。

「僕が言えた台詞じゃないけどね、夕は甘やかし過ぎない方がいい。少し痛いくらいに、身の程を教えてあげるんだ」

涙に濡れた夕顔の顔を持ち、緩んだ口元に乱暴に指を突っ込んだ。

夜顔の整った指先が咥内に突き刺さり、中をぐちゅぐちゅと掻き回される。

「ぁ……」

夕顔は口から涎を垂らし、火照った顔で瑞を見る。

「瑞さん。おいで、僕の言う通りにすればいいから」

「でも……」

瑞は躊躇うも、夜顔に導かれるまま夕顔の前に立つ。

夜顔は夕顔の口に差し込んだ指を開き、蕩けた咥内を見せつける。

「ほら夕、大きく口を開けて」

「あッ……あ」

夜顔が舌を出す。

舌先からさらりとした水のような唾が垂れ、夕顔の口に滴り落ちた。

「まだ飲んじゃダメだよ」

夜顔は笑って夕顔の輪郭をなぞる。

「瑞さんにも吐いて貰うんだからね」

瑞は言葉を飲む。

夕顔の目が泳ぐ。

「あッ……う、ぅう……」

「いいよ。夕も楽しみにしてる」

瑞はぞくりと首筋を震わせ、夕顔の頬に手を這わせた。
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