• テキストサイズ

影の花

第4章 狐の婿入り


「あ〜……? 誰がまだ引っ付いてんだよ」

鬱陶しそうに振り返ると、若草色の頭が見え、

「朝顔〜! 怖かったなあ、ごめんな起こして!」

表情をコロッと切り替え抱き上げた。

朝顔が目を潤ませる。

「夕顔おにいちゃんここお化けいるのお……?」

「いないいない!」

柔らかな温もりをぎゅっと抱きしめて頬ずりする。

「いても兄ちゃんがやっつけてや」

「瑞おにいちゃんあのね、お化け怖いならぼくたちのお部屋に来ていいからね」

「ありがとうございます……」

夕顔が真顔になり、

「夕顔にい差別〜!」

「うるせえ」

「いたいっ」

瑞の頭に拳を落とす。

「な、なんで私に……」

夕顔は朝顔を抱いたまま、タバコ盆から行灯へと火を移す。

「そんでお化けってなんだよ……どうせ瑞が何かを見間違」

部屋がぼんやりと明るくなり、

「うぉおおおおおッ!?」

障子の前に立つ狐面の少年が浮かび上がった。

「きゃあああああッ!」

「ああぁあああああ!」
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp