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影の花

第29章 番


個室に入った瑞は、壁を背にしてしゃがみ込む。

朝顔の股間の前に顔をやり、

「あ……」

帯に手を掛けた。

続けて褌を解くと、目の前に朝顔の男根がぽろんと飛び出した。

今まで目にしたモノより遥かに小ぶりとはいえ、根元から先まで硬くなり、つんと上向いている。

「っ……」

瑞は自分に向けられる欲望に息をつまらせながらも、優しく根元に手を添える。

「あ……」

指でそっとつまんで支え、ゆっくりと先端を口に含んだ。

朝顔は敏感な先端から伝わる熱と感覚、どれもが初めての体験で腰を震わせる。

「瑞おにいちゃん……あっ……お口……きもちいい……」

蕩けきった声を漏らした。

厠の壁に耳をつけ、聞き耳を立てていた二人は顔を見合わせる。

「ま……マジかよ」

桔梗があまりの衝撃に目を丸くしながら隣の鈴蘭の様子を伺う。

鈴蘭ははあはあと息を漏らし、不自然に脚を擦り合わせていた。

桔梗は嘲るように笑いを零す。

「な、なんだよお前、あんな知ったふうな口利いてた癖に勃ってんのかよ」

「なっ……! 鼻血垂らしてるあんたよりマシやわ」

鈴蘭の言葉に慌てて鼻を拭い、

「うっ!? ……てめッ、嘘ついてんじゃねえよ!」

勢いよく掴みかかった。

「なんや!」

ドタドタとやり合っていると、厠の戸が開く。

中から酷く警戒した様子の瑞が出、辺りを見渡した。
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