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影の花

第27章 変化


逞しい胸に腕を回し、身体を押し付ける。

瑞は萩のぼさっとした長髪に指を差し込み、優しく手で掬う。

陽だまりのような匂いのするくせっ毛の先を指先で摘み、正面から萩を見つめる。

「私は萩さんの髪、素敵だと思います!」

「お、おう?」

次に手をなだらかに盛り上がった胸元に這わせる。

「筋肉もかっこいいし、好きです!」

「おいおいおい……! なっ、なんだ、どうした急にっ」

「でも照れた顔は可愛いです!」

「本当にどうした!」

瑞はしっかりと萩を見つめ、

「萩さんの影で皆さんを支えている所も、努力家な所も、健気な所も魅力的です! それはっ、歳を取っても変わらないと思います! むしろ萩さんが大人になったからこそ、魅力を感じるんだと思いますっ!」

断言した。

「瑞……」

呆気に取られる萩から手を離し、瑞は顔を真っ赤にする。

モゴモゴと言いよどみ、覚悟を決めた顔で口を開いた。

「それに、わわわ、私……萩さんで勃起しますから!」

萩はぶっと噴き出した。

「ででででは!」

瑞は勢いづけて立ち上がる。

「おっおい!」

足早に去ろうとして、

「うッ!」

壁に思いっきり頭をぶつける。

ふらりとよろめき、その場に倒れた。
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