第27章 変化
それからして。
瑞は再び萩の元に訪れていた。
景気づけに酒を飲み、ほんのり頬を赤らめ、障子の前で唾を飲み込む。
緊張で乾いた口内を湿らせ、拳を握った。
「は……萩さん、こんばんは。瑞です、少し、お時間よろしいですか」
「ん? おう」
萩は障子を開き、にっと笑う。
「この前はありがとうな」
「……いえ……」
瑞が部屋にちらりと視線をやれば、机の上には前と同じく帳面が置かれている。
硯に置かれた筆の先は墨で濡れていた。
「もしかしてまた揉みに来てくれたのか、なんてな」
萩が茶目っ気を出して言うも、瑞は真剣な顔でこちらを見つめている。
「じょ……冗談だ冗談。それより瑞、いったいどうしたんだ?」
緊迫感すら伝わる瑞の表情に萩が狼狽えると、
「……萩さんッ!」
「うおおおッ!?」
瑞はその一瞬の隙をついて萩に抱きついた。