• テキストサイズ

影の花

第27章 変化


それからして。

瑞は再び萩の元に訪れていた。

景気づけに酒を飲み、ほんのり頬を赤らめ、障子の前で唾を飲み込む。

緊張で乾いた口内を湿らせ、拳を握った。

「は……萩さん、こんばんは。瑞です、少し、お時間よろしいですか」

「ん? おう」

萩は障子を開き、にっと笑う。

「この前はありがとうな」

「……いえ……」

瑞が部屋にちらりと視線をやれば、机の上には前と同じく帳面が置かれている。

硯に置かれた筆の先は墨で濡れていた。

「もしかしてまた揉みに来てくれたのか、なんてな」

萩が茶目っ気を出して言うも、瑞は真剣な顔でこちらを見つめている。

「じょ……冗談だ冗談。それより瑞、いったいどうしたんだ?」

緊迫感すら伝わる瑞の表情に萩が狼狽えると、

「……萩さんッ!」

「うおおおッ!?」

瑞はその一瞬の隙をついて萩に抱きついた。
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp