第27章 変化
「なるほどね。それで瑞くんは心を痛めている訳だ」
「私に何が出来るわけでもないんですが……少しでも力になりたいんです。いつもお世話になっているし、萩さんは中身も、外側も素敵ですから」
「だけど、萩には何度言葉で言っても無駄かもしれないね。それだけ心の傷が深いんじゃないかな。今のままで素敵だといくら言われても、はいそうですかとは中々ならないだろうね」
瑞はしゅんと眉尻を下げる。
藤はぽんぽんと瑞の背中を撫でる。
「瑞さん、萩さんその気持ちだけで嬉しいと思うな」
「藤さん……」
そんなやり取りを見ていた蓮華。
ふむと口に手を添え、
「僕が良い手を教えてあげよう」
楽しげに指を鳴らした。
「本当ですか!」
「ああ、本当さ。手取り足取り……ね」
蓮華は意味ありげに微笑し、瑞の背後から抱きついた。
瑞の腰に当たる感触、怪しい動きをする手。
「え、あ……あ〜〜ッ!」
瑞の悲痛な叫びが響いた。
「……僕、知らなーい……」
溺れるものは藁をも掴むとは言うが、とんでもない物を掴んだなと思いながら。
藤は自分にとばっちりが来る前に、そそくさとその場を離れた。