第27章 変化
「その男が他の陰間茶屋で陰間遊びをしているって噂が僕らの耳に入った頃。その男、うちに姿を現したんだ」
「それで……どうなったんですか」
「……そして、違う陰間を買ったんだ。色が白くて、華奢で、線の細い、髪を括った男の子。まるで、昔の萩さんみたいな……」
瑞はその醜悪さに息を飲んだ。
「それでふられちゃったんだって。その頃の萩さんはもう、男の子じゃなかったから」
藤は俯いた。
「傷付くよね。確かに僕らは商品だけど、人間なんだ」
か細い身体、押し殺した声。
藤は酷く儚げに見えた。
瑞はそっと彼の背に手を回そうとすると、
「……そうやってその優しさでみんなを落としてきたの?」
ぎゅうっと掴まれた。
「え、えっ?」
目を白黒させる瑞に、藤は口角を上げる。
藤は優しげな目元を蠱惑的に歪め、
「夕顔は単純だからすぐにメロメロになったかもしれないけど、僕は一筋縄じゃいかないよ」
ゆっくりと瑞の頬に手をやる。
ビクッと肩を跳ねさせる瑞の顎の線を愛おしそうに撫でた。
「ううん……むしろ僕が瑞さんを手玉に取ってあげようか。僕はそういうのが好きなんだ。男が女の子みたいに喘いだり……ね」
爪に綺麗に紅を塗った指先を舐め、扇情的な表情で言う。
瑞は顔色を変えた。