第27章 変化
「あっ……ああ〜、悪いな、瑞」
「いえいえ。お任せ下さい」
瑞はにこやかに言い、肩揉みを続ける。
瑞が手を離した頃には、萩の肩はすっかり軽くなっていた。
萩は肩をぐるぐると回し、晴れやかに笑う。
「ありがとうな、助かった」
瑞も嬉しげに微笑み、
「それでは、次は横になって貰えますか」
座布団を引き寄せるとそこに横になるよう促す。
「まだ何かやってくれるのか?」
萩が言われるがままうつ伏せになると、瑞は自分の裾を捲り上げた。
顕になる曲線と、肌の艶めかしさに萩は目を見開く。
柔らかそうな内腿が覗いたところで、
「おお……っ!?」
瑞は萩の腰の上に跨った。
そして、丁寧に背中を指圧し始めた。
「やっぱり背中も張ってますね」
萩は真面目な顔で言う瑞に申し訳ないような気持ちになりつつ、自分の腰を挟み込む脚や、弾むように上下する腰を意識しざるを得ない。
「あ、ああ」
落ち着かない様子で視線を横にズラした。
「やっぱり、萩さんはいつも皆さんを引っ張っているから気苦労があるのでしょうね」
瑞の言葉に萩は目を細める。
「ああ……ま、俺はあいつらと違って客も取れねえ行き遅れだからな。このくらいしねえとバチが当たる」
「そんなことありませんよ」
瑞は否定するも、萩は笑って続ける。
「いやいや。陰間としてはもうとっくに上がってるから、俺があいつらを支えるのは当然だ。俺も、声が変わり始めた頃合でさっさと足を洗ってまともな職につけば良かったんだろうが……」