第26章 紅白
躑躅はそこで言葉を切り、瑞に抱きついている桃に顔を向ける。
「……それを覚えていたのですね」
優しい声で言い、まだ躑躅を警戒している桃の頭を撫でた。
「つまり。桃は、ここに来てから性行為をされていない瑞さんの役に立ちたかったのですね……瑞さんが桃を襲ったというのはわたしの勘違いなのですね」
瑞は言葉に迷いながらも小さく頷く。
躑躅は微笑み、
「誠に申し訳ございませんでした」
畳に頭を擦り付けた。
「いやいやいやいやっ! あ、頭を上げてください!」
瑞は慌てふためき、土下座する躑躅の頭を何とか上げさせようとする。
そんな二人をぽかんと眺めていた桃。
「ん! うっ、う! 躑躅い」
躑躅の肩をゆさゆさと揺さぶって顔をあげさせると、にこにこと笑う。
「仲良し! するう!」
「私も瑞さんと仲良く……?」
桃は不思議そうにする躑躅の腕を引く。
「躑躅、たっ」
「……はい」
躑躅は桃に促され、ようやく立ち上がる。