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影の花

第26章 紅白


「……なんです、桃」

「う、う〜! 瑞、ちう、ちあ、う……桃、が、した……」

「何が違うのです、桃。別にこのような者を庇わずとも、前と同じく、わたしがいれば良いでしょう」

どうにも話が通じない躑躅に、桃はむすぅぅと頬を膨らませる。

ぷいっとそっぽを向き、瑞の方に駆け寄る。

状況を理解出来ず、驚いた顔をしている瑞を強く抱き締めた。

「うっ……うー! あ!ううっ! 躑躅、瑞いたいいたいすう、躑躅きらい!」

「なっ!」

躑躅は大きな衝撃を受け、動揺を露わにする。

「何故まだそんなことを言うのです! わたしは桃のためを思って……!」

瑞は二人の会話に、困った顔で口を開いた。

「あの……確かに、私は一歩間違えれば桃さんを傷つけかねない行為をしました。躑躅さんが怒るのも無理はありません。しかし、桃さんが眠っていた私の布団にいつの間にか入っていたのです……それで目を覚ますと、私の服を脱がしていて、こ、股間を触っていて……」

そこで顔を赤くし、気まずそうに項垂れる。

躑躅はゆっくりと桃に顔を向けた。

「……それは本当ですか、桃」

桃葉一点の曇りもない眼差しで、

「うんっ!」

にっこりと頷いた。
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