第26章 紅白
「……しかし、それも誤解でした。むしろあなたは桃に害をなす人間よりも悪どい! あなたは桃に下心を持ち、偽りの優しさで接し、わたしの警戒を緩めたところで桃を美味しく頂くために演技をしていたのですね!」
「えええええええ! ちっ、違います、確かにこれは、欲望に負けた私に非がありますが……! 決してそんなことを思って桃さんや躑躅さんに近づいたわけではっ」
「くどい! どのような言い訳を重ねようとも、純粋無垢な桃に漬け込み不埒な真似をする悪党は生かしておけません」
躑躅は狼狽える瑞を一喝すると、包帯の下の盲いた目に力を込めた。
「私これ殺される流れですか!?」
「いくら瑞さんと言えども、事と次第によっては……」
そう言いながらも、躑躅は薙刀を構えてジリジリと距離を詰める。
瑞の喉元に突き当てようとした時、
「めっ、めー!」
桃が慌てて躑躅を止める。
背後からぎゅっと抱き締め、躑躅を瑞から引き剥がそうと引っ張る。