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影の花

第25章 逆襲の下僕たち


「……百合さん。あれ、百合さんが仕組んだんでっしゃろ」

その日の夜、竜胆は二階の窓辺で煙管を吸っている百合に声をかけた。

チラリと視線を投げる百合に、火のついていない煙管片手に笑う。

「火ぃもろてもええですか」

「うん、いいよ〜」

竜胆は百合の熱を持った煙管の雁首に自分の雁首を近づけ、ゆっくりと吸いつけた。

竜胆は静かに煙を吸い、百合はその横でふーと吐き出す。

夜空に白い煙が溶けていった。

「……つか、よく気ぃついたね〜、竜胆まるやるじゃん。はなまるぅ〜」

「あれだけ菖蒲くんに都合ええ展開してたら僕かて流石におかしい思いますわ」

結局、あの後も菖蒲の被虐を満たすようなくじ引きと命令の連続。

竜胆はそれを思い返して薄く笑う。

「いやさあ、菖蒲っぴて変だけど良い奴じゃん? 俺ちゃんおみずのことも好きだしぃ」

百合は煙管片手に、竜胆の方を見て笑う。

「これきっかけにおみずが菖蒲っぴを意識しだしたら面白いって思ったの〜。影の花の新しい組み合わせ見てえの、最近マンネリ気味だったからさあ」

「組み合わせて何です?」

「菊じろうと梅たろうとか、夕夕と藤っちとか〜」

分かったような分からないようなという顔をする竜胆。

「お前だったら桔梗ちんとか」

「気色悪いこと言わんといてください! 俺は桔梗と絡み合ったりしたことありませんよお!?」
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