第25章 逆襲の下僕たち
「んなの嫌に決まってんだろうが! あー……もうしょうがねえ。顔に来い!」
「で、では……」
瑞はおずおずと夕顔の前に出ると、ぎこちなく平手を向けた。
そして、その場にいる全員の想像を遥かに上回る力と音で夕顔の頬を引っぱたいた。
夕顔は短く叫び、瑞を睨みつける。
「ッ……てえなああ! おっ、お前マジで叩きやがったな!」
「百合さんがそう言われたので……」
瑞は申し訳なさそうにしつつも、夕顔の剣幕に一切怯む事なくぺこぺこと頭を下げる。
夕顔は痛む頬を手で押えながら、声を張った。
「……あと意外と力強えな! お前!」
「これでも一応男なので」
「に、兄やんええで!」
「おみずやるじゃん〜!」
竜胆は手を叩いて笑い、百合も腹を抱える中、
「あぁ……」
菖蒲だけは反応が違う。
ゾクゾクと体を疼かせ、羨望の目で夕顔を見る。
「菖蒲、んだよその目……!」
夕顔がえも知れぬ寒気に襲われた時、
「はいくじ回収〜。んで、これを繰り返すっつうわけ」
百合がさっさと皆の手にした箸を回収していく。
先程と同様に人数分の箸を握り、皆の前に突き出した。