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影の花

第25章 逆襲の下僕たち


「そうそう〜。まだ人に言ったりしないでねえ。他の奴は番号が書いてるからね〜」

百合は軽い調子で言い、

「んでえ。俺ちゃんが殿様だ〜れだって言うからあ、それに合わせて、箸に殿様って書いてる奴は名乗り出て〜」

各々箸に視線を落とす。

「おれですっ!」

菖蒲が手を上げた。

「はいじゃあ殿様はあ、一個命令できま〜す。張り切ってどうぞお」

菖蒲は僅かに頬を紅潮させ、口を開いた。

「……一番が二番に……び、ビンタを……」

三番のくじを持った竜胆が眉を八の字にして笑う。

「菖蒲くん初っ端からエグいなあ〜。誰や一番て」

辺りを見渡すと、瑞がおずおずと進み出る。

控えめに手を上げた。

「わ、私です」

「兄やんが一番か! ほな二番は……」

まさか、と百合を見れば、

「俺ちゃんじゃないよお」

ニコニコ笑って手を振る。

とんでもない事態を回避したことに竜胆は胸を撫で下ろし、残った一人に顔を向ける。

「……てことは」

「オレだ……」

夕顔が二番の箸を片手に呟く。

「ほ、ほんとに叩くんですか?」

戸惑う瑞の肩を百合が笑顔で叩く。

「おみず、本気でぶっ叩いていーよ」

「百合さんッ!」

「……瑞さん、別に顔じゃなくてもいいですよ……夕顔さんの尻とかにビンタしても……」

菖蒲がボソリと吐くと、夕顔は血相を変えて怒鳴る。
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