第25章 逆襲の下僕たち
それから日が経って。
「菖蒲っぴい、暇そうな奴集めてきたよ〜」
百合は座敷の障子を開くと、ソワソワと待っている菖蒲に向かって笑顔を向けた。
百合の両脇には、
「暇ちゃいますけど!」
「百合さん、何するんすか……」
右には竜胆、左には夕顔ががっちり肩を組まされている。
その後ろから瑞がひょこっと顔を覗かせた。
「ぁ……!」
菖蒲の目が輝く。
「菖蒲さん、こんにちは。菖蒲さんも百合さんに呼ばれたんですか?」
「……うん……」
瑞はニコッと笑って菖蒲の隣の腰に下ろした。
百合に無理やり連行されて不服げな二人も座る。
百合は満足気にうんうんと頷き、
「俺ちゃん特製の遊びで遊ぼ〜よっ。名付けてえ、殿様勝負〜」
人数分の本数が揃えられた箸を握り、片手を突き上げた。
「ぱちぱちぱち〜」
笑顔で手を叩く百合。
それに合わせて拍手する菖蒲と瑞。
夕顔は渋々拳をあげる。
「……いえー」
嫌な予感しかしない竜胆は無言で糸目を引き攣らせる。
「あかん……そんなん死ぬ気配しかせーへんわ……」
百合は笑って竜胆の頭を掴んだ。
指に力を込め、低い声で言う。
「盛り上がれよ」
「逆効果逆効果あッ! こんなんされたら普通盛り下がります!」
「竜胆まるは普通じゃねえよな〜」
「過大評価過大評価! でも頑張りますわあ!」