第25章 逆襲の下僕たち
「それにしてもお、こーいうの俺ちゃん理解できね〜」
指先でぺらりと捲り、小馬鹿にするような口調で呟く。
一方、菖蒲はそんな百合を見下したようにふっと笑う。
「そうでしょうね……百合さんには一生理解できないと思う……」
「あ〜? こんなの理解したくもねえし」
「はっ……こっちだって理解されたくもな」
そこで百合の堪忍袋の緒が切れ、無表情に菖蒲の胸ぐらを掴みあげた。
両手で胸元を掴み、菖蒲を高く真上に持ち上げる。
「あわわわわわわ! 誰か大人の人呼んで〜っ!」
「俺ちゃんも大人だわ」
百合は菖蒲を床に下ろし、胡座をかいて座り込む。
改めて菖蒲と日向丸を見比べた。
「……兎に角ぅ、菖蒲っぴはこーいうのが理想っつうこと?」
「まあ……興奮しますよね……」
百合は、ふひひと笑う菖蒲を一瞥する。
頼りなげな肩、猫背気味な背。
彼の望みを叶えてやりたくなるような嗜虐心を擽る見た目をしている。
と言っても、百合にとって菖蒲の性癖は難解きわまるものだった。
百合はふーんと素っ気なく言った後、
「俺ちゃんが協力してあげよ〜か」
歯を見せて笑った。
「へ……?」