第25章 逆襲の下僕たち
菖蒲はびくうっと肩を跳ねさせる。
「なにこれ〜。めちゃくちゃエグいんだけどお。こんなの好きなの? てかここにあるの全部こいつの本?」
いつの間にか部屋に入っていた百合。
一冊の本を手に取り、ペラペラと捲りながら呟く。
大量の本を見回して笑った。
「ゆゆゆ百合さんっ……、ほ、ほっといてくださいっ!」
「ねえこれ発禁本?」
「違います!」
百合はいたずらっぽく笑い、ふと首を傾げた。
色鮮やかに描かれた日向丸の顔を見つめる。
「……んあ? こいつ、おみずに似てね?」
「ほあッ!」
菖蒲は悲鳴を上げて飛び上がった。
「当たり? 菖蒲、こいつがおみずに似てるからこの本が好きなんだ〜?」
「逆です逆! 瑞が日向丸に似てるから好……違うッ! 似てるから好きとかじゃなくて似てなくても好、てこれも違うぅ! 別におれは瑞が好きとかじゃなく、嫌いでもないけどッ、日向丸が好き! そう! おれは日向丸が好きなだけだ……!」
菖蒲は、ゼーハーと荒く息を吐き出しながら一気に言葉を継ぐ。
百合はニコニコと笑って草双子の一頁に目を落とす。
その頁では、日向丸が男を足蹴にしている。