第3章 愛情は隠し味
萩が呆れ顔で言い、陰間たちの中でも更に年若い子らを示す。
「こいつらがしんべこっつって、陰間になる前のヒヨっ子だ。見た通りまだ子どもみてーなもんだな」
「子どもじゃないよ、ボク。瑞、さっきも言ったよね? ボクの名前は?」
「椿さん」
「当たり!」
椿を皮切りに、元気よく小さな手が上がる。
「はいはいはーい! ぼくねぼくね、朝顔!」
ほんのり薄紅色をした頬、色白なもち肌の少年が手をひらひらとさせる。
手を振る度、若草色のおかっぱが揺らめく。
薄水色の布地の四つ身と青色の帯が可愛らしく、瑞が目を細めていると朝顔の金色の丸い瞳が見つめ返してくる。
朝顔はニッコリと笑った。
「瑞おにいちゃん」
「あ……よろしくお願いします」
ほのぼのとしたやり取りがなされる中、桜が夕顔の顔を横目で見る。
「……夕顔顔が怖いよー」
「は!? 何が!?」
次に気だるげに片手を上げた少年。
体操座りで、じとっとした目線を瑞に投げる。
小さな黒目が瑞の顔を見、下に動く。
「菖蒲……。あやめ、ね」
小さく呟き膝を抱えた。
菖蒲は紫色の前髪をちょんまげのように結んで額を出し、横髪を顎下程に伸ばしている。
深緑色の小袖を着、所在なさげに素足の先を擦り合わせる。